【北九州がれき】宮城県民から宮城県への監査請求結果:ご報告と見解

監査請求をした宮城市民から、結果についての見解が出ました。


私達の住民監査請求に対する「監査結果」の内容について
 

 平成241129日に行った「がれき広域処理」に関する違法な公金支出に関する「監査請求」に対する「監査結果」について、私達請求者は、以下のように考えます。

 

 監査委員は、私達が行った「監査請求」に対する判断として、「住民監査請求については、件に損害又は損失が発生し得る財務会計行為であることが用件となっている」とし、「今回の災害廃棄物処理に関する財源は、・・・全額が国の財政措置を受けた市町からの支出であるから、県に損害や損失が発生することはない」と判断し、却下としました。

 

しかし私達請求人は、国の補助金を受ける以上、当然補助金適正化法等の適用を受け、たとえ市町からの申請段階で査定がなされていたとしても、不当・不法なものに対する支給はありえず、返還請求がなされ、最終的にはその原因となった宮城県や広域処理受入れ自治体の負担となる、と指摘しました。

 

このような結果が生じないためには、今回の「広域処理」が不要不急のものではなく、どうしても必要なものであったことが前提となります。この点について、すなわちがれきの総量が大幅に減っているにもかかわらず広域処理が行われたことについて「監査結果」は、

1に、「放射能への懸念が大きく取り上げられるようになり、鹿島JVが当初計画していた受け入れ側の地方公共団体及び搬出予定先との調整に困難が生じた」としています。これについては、2月26日の「陳述」の場で「東日本大震災に係わる災害廃棄物を処理する上での廃棄物処理法の取り扱いについて」という県の文書を挙げ、委託を受けた業者が県外に廃棄物を搬出・処理する場合、当該自治体へ通知を行えば許可は必要ない、とされているゆえ、受け入れ先自治体による「受入れは許可できない」とする文書があって始めてそのような説明が成り立つ、そのような文書が存在するか監査委員は精査する必要がある、と監査委員に述べましたが、この点についてはまったく言及がなく、無視されています。したがって、いかなる自治体から受入れ拒否の意思表示があり、それぞれにおいてどの程度の数量のがれきが処理不可能になったのか、今回の「監査結果」においてその実態はまったく不明のままです。

2廃棄物処理を平成26年3月までに行うために「広域処理」が必要であった、と主張していますが、この点についても、補助金の「交付要綱」等に期限が明示されておらず、延長の場合の手続きすら規定されている、と「陳述」の場で述べたにもかかわらず、「監査結果」は、環境省のマスタープランに「概ね3年以内」とかかれていることを根拠に、「国から市町への財政措置については、国の国庫補助金交付要綱には財政措置の期限は明示されていないものの、国の補助金等は計画に定められた期間に措置されるのが通例であるので、今回の災害廃棄物処理事業費国庫補助金等も環境省マスタープランに定められた期間内に限定して措置されると理解するのが相当と考えられる」としています。今回の「広域処理」は、石巻地区の焼却施設の稼働率を上げることによっても不要となりえますが、それを行わなかったとしても、一ヶ月処理期間を延長するだけで、北九州で行われた広域処理分は充分処理できます。広域処理を行わないことによって数年単位で処理期間が伸びるのであれば、被災地の復興の妨げとなりえますが、今回の場合、あえて高額の輸送費等をかけて広域処理を行う理由とはなりません。

第3に、「二重契約」の件についても、「形式のおいても内容においても明確に分離されている」としながら、他方で、「上記の契約が二重契約か否かは別として、そもそも二重契約であっても、双方の契約内容が両立できるものであれば法的に問題はない。仮に並存が難しいないようであった場合でも、契約の中に調整を行う条項が設けられ、それにしたがって調整を行った結果、債務不履行、二重の支払い等が生じない状態になれば法的問題はない。県と鹿島JVとの間の契約に関しては、北九州市への災害廃棄物の搬出は当初契約には存在しなかった事項であったことから、両者間の協議で設計図書変更に同意し、その変更に伴う業務委託料の変更契約を遅滞なく締結していると認められ、県と北九州市との契約は違法ではない」としています。今回の件が、いかに「広域処理ありき」で進められたかを証明する文言であると考えます。

 

今回の「監査結果」は、全体で24頁に及ぶ大部なものであり、部分的には私達監査請求人の主張を敷衍するものでありますが、今回の宮城県の行為が不当・不法なものでないことを証明するに際しては、最も肝心なことに答えていない、と言わざるを得ません。したがって私達は、今回の「監査結果」は不当なものと判断します。今回の問題に関しては、仙台市民オンブズマンも監査請求を行っていますので、その結果も見て、今後の対応を検討したいと思います。

 

 

                             監査請求人

                              高橋 良

                              森田眞理