8月28日、広域化調査チームのブログhttp://hinanohanasi9494.blogspot.jp/に載せたものですが、問題点まとめのために、こちらにも再掲いたします。
環境省の広域化計画はすでに破綻。
「がれきはもうない」
北九州市と大阪だけが、つじつま合わせに狙われる。過ちを認めず、握った予算1兆円を離さない環境省。


北九州市民検討委員会のメンバーで環境ジャーリストの
青木康氏から最新レポートが届きました。


緑の情報特版NO4‏  ―環境省の「工程表」(8月7日)を読み解くー


宮城県の2重契約(犯罪行為)に逃げ出す受け入れ自治体


            北九州市市民検討委員会 調査チーム 青木泰


 


1. 残るは、北九州市と東京都


 宮城県が被災市町村から受託していたがれきの6~7割を占めるのが石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)のがれきである。北九州市に持ってくる石巻市のがれきも、東京都に持ってくる女川町のがれきも、宮城県内では、この石巻ブロックのがれきとして取り扱われている。


その石巻ブロックのがれきが、宮城県によって全量鹿島JVに昨年9月に処理委託されていた。当市民検討委員会調査チームによってその事実が今年6月に分かった。石巻市のがれきも、女川町のがれきも鹿島JVに業務委託契約された段階で、鹿島JVに「処理権限と義務」が移る。したがって宮城県が広域化処理してもらいたいと全国に訴えた石巻市や女川町のがれきは、宮城県にはなく、広域処理の必要性はなくなっていた。実業や経営に係わったことのある人は、宮城県のこの行為を「犯罪行為」と即座に断言し、ひどさにあきれる。


宮城県が業務委託していた事実を隠し、がれきの広域化を図った狙いがどこにあったのかは、司直の捜査を待つ必要があるが、一度契約したがれきを2重にカウントし、国の交付金を2重に詐取するのは、明らかに犯罪行為に当たる。


こうした事実を私たちの調査チームは、北九州市だけでなく、場所を移して宮城県、そして環境省に通告し、そのたびに記者会見を通してメディアに伝えてきた。


7月26日 衆議院会館 院内学習会&記者会見


7月30日 宮城県村井嘉浩知事に提出―同日記者会見


8月7日  環境省環境大臣宛―通告文提出


8月13日 衆議院会館 記者会見


各所でのインターネットメディアの実況や録画を見て一番驚いたのは、受け入れの検討表明していた自治体ではないかと考える。宮城県では既に鹿島JV他の建設ゼネコンやJVに業務委託を完了しているのに、その事実を覆い隠し、広域化することは、業務委託契約を勝手に廃棄することになり、明らかな違法行為であり、社会的にも許されない。


また全国の自治体の焼却施設などを使う広域化は、運送費が余分にかかることになり、契約変更は理由が成り立たないからである。


5月21日のがれきの総量の見直し後の報告では、受け入れ自治体として名前が挙がっていた16の都道府県は、今回の「工程表」では、殆ど名前がかき消され、茨城県、山形県、栃木県と名前が残っているところも「調整中」と後退した。具体的な数量が書かれているのは、東京都と北九州市だけとなっている。宮城県から運ばれるがれきの広域化処理は、いよいよ東京都、北九州を残すのみとなってきた。


 


2.環境省2か月余で方針変更―広域化の破たんを示す「工程表」


(1)受け入れ府県が16県から実質2県に。


環境省が8月7日に 震災廃棄物(がれき)についての今後の処理の工程表(注1)を発表した。工程表と言う言葉は、建設工事や工場の生産の上でその手順や流れを示すものとしてよく使われるが、省庁が今後の計画や見通しを示すものとして使用するのは、多少の違和感がある。


今年5月21日に環境省は、被災2県の調査を受けて、震災がれきの発生量の大幅な見直しを行い、それに伴う今後のがれきの処理方針(注2;以下「推進計画」)を発表したばかりである。


その中で「宮城県と最優先で広域処理の実現を図る自治体における進捗状況」と言う一覧表が記載され、そこには、東京都、青森県、山形県、茨城県、三重県、滋賀県、京都府(京都市)、兵庫県、福岡県(北九州市)の9県が、表記されると共に、「…受け入れについて具体的な回答をいただいている栃木県、千葉県、山梨県、岐阜県、愛知県、鳥取市、島根県」と7県の県名、合計16県の名前が挙がっていた。それからわずか2か月余しか経っていない中で、実質東京と北九州市を残して消えてしまったのである。


「工程表」には、受入れ自治体が激減した事実について、その事実指摘も、説明も行われていない。




(2)広域化必要量はそのままの数値。


16府県から実質2県に受け入れ先が変わっている。そのことは、「推進計画」と「工程表」を見比べた結果分かったことであるが、本来なら「工程表」にはそのことは、いの一番に触れなければならないことである。ところが触れいていない。なぜか?


また不思議なことに、「推進計画」で謳っている宮城県の広域化必要量は、127万トンであり、「工程表」でもその点は同じである。可燃物39万トン,木くず40万トン、不燃混合物48万トン合計127万トンが広域化必要量との記載は変わっていない。(注3)


工程表は、本来、広域必要量を踏まえた上で、その必要量をどのように処理してゆくかを示す役割を持っている。ところが、今回の工程表は広域化必要量が数量的には変わっていないのに、受け入れ自治体が2県に激減しているのである。これでは、127万トンの広域化必要量をどのように処理してゆくかの筋道を示すことはできない。


しかもその点についての説明がない。これでは行政が仕事の上で提出するレポートとしては、失格であるし、もし学生がこのようなレポートを提出すれば、「0点」しかもらえないだろう。仕事の上でのレポートとすれば、1から書き直しを求められるであろう。




(3)“へたれ”工程表から見える隠された事実




① 受け入れ自治体激減の事実と理由


まったくひどい“へたれ”と言ってよい工程表である。もしここに広域化必要量として記載されている127万トン(可燃物39万トン)に間違いがなければ、広域化処理量は沢山あるが、現状として処理できないと白旗を上げるレポートである。


 もちろんこのレポートでは、白旗は上げていない。


ではなぜか?白旗を上げればその最大の要因である「受け入れ自治体が、なぜ激減したのか」に触れなければならなくなるからである。


「推進計画」を発表して、わずか2か月での「工程表」の発表。やはり今回の最大の特徴は、受け入れ自治体の大激減である。


この間


ⅰ)青山、池田、奈須などにより被災地では、自己処理の計画が進められ、広域化の必要がなくなっているという報告が行われた。(注4)


ⅱ)TV朝日のモーニングバードなどで、広域化問題が特集報道された。


ⅲ)2重契約問題が発覚し、当市民検討委員会の調査チームが各所で訴え、インターネットや地方紙、地方TVなどでも取り上げられてきた。


そうした中で受け入れ自治体にとって、宮城県からがれきを受け入れれば、違法な2重契約となり、宮城県がすでに民間委託していることを知って受入れ契約を結べば、受け入れ自治体も国の交付金の詐取に加担することになる。


受け入れ自治体の激減は、こうした2重契約問題等の背景なしには、説明できない。工程表では、そのため一番報告しなければならない激減の事実について報告を隠したといえる。




② “へたれ”工程表で良しとする本当の理由


広域化必要量が127万トン(可燃物39万トン)とすれば、東京都と北九州市による引き受け量だけで、処理はできない。ところが“へたれ”工程表をそのまま発表していて環境省や宮城県は良しとしている。平気なのは、宮城県では当初計画の全量を民間委託していること、さらに5月21日の発生量の見直しで、そもそもがれき量が減ったことがあり、広域量が127万トンと言うこと自体、事実ではないということである。


つまり私たちがこれまで調べてきたように、広域化に回すがれきはない。その事実確認があって、このような“へたれ”計画で良しとしていると言える。




③ やはり見逃すことのできない東京都と北九州市の受け入れ!


しかしそうするとますます宮城県石巻ブロックから東京都と北九州市にがれきを持ってくるのは、違法であり、無駄遣いであり、交付金の詐取につながると言わざるを得なくなる。


8月末~9月初めまでに別紙(*5)のような通告文を東京都下のがれき引き受け自治体に提出する予定だが、それ以降もがれきの受け入れを続けるならば、交付金を出す環境省も含めた行政による交付金詐欺事件としての刑事告発そして立件は不可避になるのではないか。




3.工程表から垣間見える事実と今後


 (1)工程表の特徴と問題点のまとめ


「工程表」を「推進計画」と比較しながら見て行くと、環境省が進めてきた広域化がすでに破たんをきたし始めていることが分かった。環境省が作った工程表と言う作文の特徴は、


広域化必要量は、過去の計画量と一致させ同じ量の広域化が必要だという立場をとっている。しかし広域化必要量は、被災地自治体でのがれきの処理量で変わってくる。4つのブロックですでに民間委託しているという点を考慮した報告になっていない。


② 受け入れ自治体の激減と言う大事な事実を示していない。そのため、受入れ自治体が2箇所になってしまった中で、過去の計画量と同量の広域化必要量をどのように処理するのかの道筋は、「工程表」で示されていない。


受入れ自治体の激減の理由が、述べられていない。


減少する理由は、


ⅰ)広域化の必要量が減った


ⅱ)受入れ自治体側の受け入れたくないという意思


ということだが、ⅰ)なのかⅱ)なのかは示していない。


本当は両方の要因なのだが、ⅰ)とすると、北九州や東京都も必要ないとなるため、曖昧にしているといえる。


結局2重契約問題と被災地で処理は可能だ、広域化の必要がないということが激減の理由である。本来は、環境省は、そのことを踏まえて「工程表」を作る必要があった。しかし東京都と北九州市を継続させるために、その点を隠し、曖昧にした提案書を作ったといえる。


したがって事実に沿えば、北九州市、東京都への広域化は必要ないし、犯罪行為への加担であるといえる。


この2重契約問題は、IWJが2時間取材で取り上げ(*6)韓国TV局も動きだし、各地の市民活動とも連携しながら戦後最大の疑獄事件に迫る動きとなり、もう覆い隠すことは出来なくなっている。




(2)工程表から明らかになったこと


 今回は、宮城県のがれきについて焦点を当て、調査してきたが、工程表から垣間見える岩手県のがれき問題も今後お届けする。


岩手県のがれきは、当初の詳細計画(注7)では、県内の清掃工場、県内に作る仮設焼却炉、そしてセメント工場プラントによって、可燃系のものは処理する計画が立案されていた。


宮城県の場合、4つの大きなブロックに分け、建設ゼネコンやJVに委託する方法を取っていたが、岩手県では、既存の処理施設のプラントを使って処理するという形をとっていた。その意味で岩手県も宮城県と同様に県として完了まで見据えたがれきの処理策を計画していた。(注7)


ところが、そうした県レベルのがれき処理方針を無視するように、広域化で乗り込んできたのが環境省で、その予算的な裏付けを取ったのが、昨年11月21日の第3次復興予算の決定だったといわれる。


確かに昨年の年末といえば、宮城県の石巻ブロックのがれきの処理委託契約は、9月16日に終わっていた。そこに無理やり入り込んで広域化を行おうとしたため、2重契約問題が発生した。


岩手県では、野田村や山田町、そして宮古市が、大量の広域化計画量を立案し、今回は大幅に下方修正されている。下方修正されたのは良いが、岩手県が元々作っていた県の詳細計画では、処理計画が完了していた。なぜそのよう巨大量の広域化が立案されたのかが問いただされることになる。


工程表では、岩手県のがれきの広域化の行く先が記載されている。環境省が、これまで打診していた府県や政令指定都市に、予定通りの量を用意することができず、前向きに答えてくれた自治体に、少しづつ顔を立てるように振り分ける計画が示されている。


この環境省の工程表から伝わってくるのは、被災県ががれきの処理に困っている姿ではなく、がれきを貴重品のように、受け入れ自治体に分け与える計画図である。


広域化計画は、環境省主導の全く無駄な公共事業であったことが明らかになりつつある。その点が宮城県に続いて岩手県の事例を次回に紹介してゆきたい。


岩手県の計画の中では、最も遠い場所に運ぶのが宮古市のがれきを大阪市に運ぶ計画である。広域化がなくとも地元での処理計画が立案されていたのを、国が割り込むように入ってきて、広域化によるムダ金を使わせようとしている。大阪の橋下市長が、批判してきた国による全く無駄な事業に、批判してきた橋下市長が加担することになる大阪市のがれき受け入れである。橋下市長の行政改革の内実が問われるがれき受け入れとなる。




注1:「東日本大震災に係わる災害廃棄物の処理工程表」環境省8月7日発表


注2:「災害廃棄物推計量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について」環境省5月21日発表


注3:「東日本大震災に係わる災害廃棄部の処理工程表(概要)」環境省8月7日発表


注4:がれき広域処理の正体・ もともと不要! 5千億円がゼネコンJVへ!http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column-gareki1.htm


 
 

注5 : ご通告書―柳泉園組合管理者様-2012年8月23日


注6: 2重契約問題。IWJ録画。岩上安身氏による青木泰取材CH1録画




注7:「岩手県災害廃棄物処理詳細計画」2011年8月30日 岩手県


(改訂版12年5月)