宮城県 環境局職員の皆様 
そして、環境局に出向中の環境省の皆さまへ

こんにちは。いつもお世話になっております。
北九州市の「九州ひまわりプロジェクト」です。
東日本大震災から一年半。北九州市からも一日も早い復興を心からお祈りしております。
 
9月10日月曜日、私たちは宮城県庁で記者会見を開かせていただきました。
笹出課長と偶然エレベーターでお会いしたとき、この九州ひまわりプロジェクトのブログをコピーした資料を持っていらして大変驚きました。
皆様がこのブログを読んでくださるとわかり、本当に光栄に思っています。

今回の訪問で、私たちは村井知事はじめ、多くの議員が、北九州市にがれき搬出する必要がないと思っていることがよくわかりました。
5月22日の総量の見直しでがれきの量が半分以下になり、自区内で処理できるのです。
ありがとうございます。
10日にがれきは搬出されましたが、皆様、今なら、まだ「やめよう」と決断できます。
焼却予定は17日からです。
政治的な動きや、思惑にとらわれることなく、皆様の子や孫の目を見てまっすぐ語れるような、後世に「英断だった」と評価されるような、懸命な決断を是非していただきたいのです。

5月に実施された80トンの試験焼却杯さえ、漁協の反対でいまだに埋め立てできずにいます。
http://www.asahi.com/national/intro/SEB201206250060.html

私たち北九州市民も、広域処理が始まった当初から、がれきを「震災廃棄物」と呼ぶことに大きな違和感がありました。広域「処理」という呼び方にやり切れない思いを感じていました。
それは、被災者の皆様にとって廃棄物などではなく、大切な方々のご遺体や思い出の品がつまった大切なものです。
それを1500キロ離れた北九州市に持ってきて、焼いて、埋めてしまうのです。
被災地の方から、髪の毛一本、指一本でも探し出したいというお気持ちを伺いました。
それらは決して遠方に運ばず、宮城県内で埋めたい。鎮魂の意を捧げたい。
それが日本人の率直な感情だと思います。

それなのに、復興予算という交付金がついた瞬間から、被災地の方々の思い出がお金と同じように奪い合いになっている様子に、なんともやり切れない気持ちでいっぱいです。
絆とはほど遠い現実がここにあります。

だから、私たちは、北九州市の地からも宮脇昭先生の「いのちを守る森の防潮堤」を応援し、先生をお招きし講演会も開きました。
以前は宮城県で開かれた宮脇先生の植樹会にも行きました。
本当の宮城県の復興のお手伝いをさせていただきたいと、森の防潮堤を応援するチラシを8万以上まいています。
昨日は、「津波記念公園」を提唱している仙台市の岡山博医師とともに会見に参加しました。

ぜひ、私たちにがれき受け入れではなく、がれきを活かし人々の命や財産を守り思い出となる、このような形での復興のお手伝いをさせていただけないでしょうか?
そのためには労を惜しみません。

九州に住む私たちの役割は、福島など汚染された地域から避難された方々の受け入れ、被災地に安全な食材を供給することだと思っております。

この度の訪問で、多くの宮城県民の皆様との素晴らしい出会がありました。
私たちは宮城県が、宮城県の方々が大好きです。
どうか、皆様、本当の復興支援のお手伝いをさせてください。
よろしくお願いいたします。

最後に環境省の皆様
私たちは広域処理は完全に間違った政策であり、税金の無駄使いだと確信しております。
しかし、ひとつだけ良いことがありました。
全国の市民団体が「おひさまプロジェクト」で結ばれ、連携できたことです。
これはなかなか手強いですよ。
怪我の功名ですね、繋げてくださってありがとうございます。

 

宮城県知事及び

宮城県議会議長への質問と通告書

 

                 北九州市民検討会(広域化調査チーム)

                    九州ひまわりプロジェクト

                    おひさまプロジェクト

                     代理人弁護士 斎 藤 利 幸

 

1.通知事実

1)宮城県は、北九州市に対し、東北大震災で発生したがれきの搬出・搬入・焼却について、8月31日業務委託契約(「宮城―北九州契約」)を結んだ(資料1)。来年3月末までに、石巻市の木くずなどの可燃物のがれき約2万3千トンを、契約額約6億2200万円で処理するとなっている。

また報道によると「県や北九州市によると、今月初旬に石巻市からがれきを搬出し、10日にもコンテナ船が宮城県を出発。1度の輸送で600~800トンのがれきを運ぶという。がれきは北九州市小倉北区の日明(ひあがり)積出(つみだし)基地ストックヤードに集められた後、市内の3工場で1日最大約110トンが焼却される。処理は17日から始まる見通し」(朝日新聞)

北九州市でも、8月31日16時、同様の内容を記者会見で発表した。その後、市民検討会が調査したところ、宮城県議会は、9月11日から9月議会が開催され、今回の契約は議会承認を受けていない。

2)しかしながら宮城県は、石巻市のがれきについては、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)として全量鹿島JVに処理委託していた(資料2)。

  民法上すでに契約している案件を、議会の変更議決を経ずに二重に契約する今回の北九州市との契約は、違法なものである。

また環境省が、8月7日発表し閣議決定された工程表では、宮城県の可燃物の受け入れ自治体は大激減し、5月の発表では、16都府県だったものが、実質東京都と北九州市になっていた(資料3)。

3)河北新報によれば、宮城県は、昨年鹿島JVとかわした業務委託契約の変更提案を今9月議会に提案する予定であり、委託処理量が当初の処理量から半減し(685万トン→310万トン)鹿島JVが、当初契約していた量からすれば、約370万トンもの余裕が生じたことになり、広域化の必要はなくなった。

4)報道内容が事実だとすれば、環境省によるがれきの広域化政策の下、自治法や民法、行政法、刑法すら無視した行政行為が行われようとしている。宮城県のがれきを、北九州市に持ってくるという、理由の成り立たない違法行為が自治体の長の命令一つで、行われようとしている。国の税金や自治体の税金を使って行われる以上、法令順守と、議会承認が不可欠である。この様な状況の中、市民やメディアや議会による監視・点検行為が、宮城県、北九州市そして環境省に対して必要とされる。

  また昨日のNHKの報道によれば、石巻ブロックのがれき処理の出鱈目さが具体的に指摘されている。その上に、さらに北九州市への搬出など、全く無駄な税金が使われようとしていることが明確となっている。

 

 

2.質問通知事項

以下質問事項と、今回のがれき広域化の問題点を列挙する。

 

 「宮城―北九州委託契約」は、いつ正式契約になったのか。

「宮城―北九州委託契約」は、議会承認を得た正式契約か。

自治体の契約は、自治法(第96条第1項の第5号)上、議会確認が必須要件である。今回の8月31日の両自治体(宮城県、北九州市)間での「宮城―北九州委託契約」は、議会承認がない現状では、「仮契約」でしかない。議会承認が無く、正式契約でない契約を拠り所に、がれきの積み出しを行うのは、違法な行政行為ではないのか。

② 鹿島JVとの業務委託契約との関連の適法性が保たれているか。

今回宮城県が、「宮城―北九州委託契約」によって、北九州に運ぼうとしているがれきの処理は、すでに昨年9月16日に、宮城県議会の議決を経て、鹿島JVに業務委託している。したがって今回の「宮城―北九州委託契約」が正式な契約となるためには、宮城県議会による宮城県と鹿島JVとの契約の変更決議を先に行っておくのが、委託契約上不可欠の手続きになる。

このような手続きを経ない「宮城―北九州委託契約」は、違法な2重契約であり、契約上無効となると考えるが、いかがか。

③ がれき処理量の半減の一方でなぜ広域化処理なのか。

  がれきの広域化処理は、がれきの処理が、被災県では見通しが立たず、復興が進まないというのが、受け入れ自治体での受け入れ理由であった。

ところが、宮城県は、がれきの発生量の見直しに伴い、石巻ブロックのがれきの処理総量を半減すること、それに伴い、鹿島JVとの業務委託契約を総量、金額とも下方修正することを今宮城県議会に提案している。宮城県は税金の無駄遣い防止の観点から広域処理をやめるべきではないか。

  現に、処理がれき量が大幅に減ったということが、事実として伝わったため、受け入れ都府県が16から大激減したのではないか。

  宮城県は、従来の計画から鹿島JVへの委託料を370万トンも減らしながら、その0.6%でしかない2.3万トンのがれきを北九州市に委託しようとしている。がれきの処理と言う点で考えた時、何の意味があるのか。 0.6%の委託によって、宮城県のがれき処理が順調に進むことになるのか。鹿島JVの現処理量を減額案から2.3万トンをそのままとするだけでよいのではないか。

 契約しているがれきを引き抜き高いコストに代える不合理性

結局今回の「宮城―北九州委託契約」は、すでに処理先が鹿島JVに決まっているがれきを、2.3万トン引き抜き、北九州市に持って行くという計画である。鹿島JVとの契約では、1トン当たり2~3万円の処理コストが、北九州市に持って行けば、運送費を入れて8万円前後と言われている。今回の分だけで、総額15億円、10億円以上の無駄遣いとなる。このような契約は合理性を欠くだけでなく、地方自治法の「自治体は最小の経費で最大の効率を求める」(第2条13項)に違反すると考えるがいかがか。

⑤ 誰がこの経費を支払うのか

がれきの処理は、被災地の処理経費を国が95%~100%交付金で補助する仕組みになっている。しかし違法なものや合理性に欠けるものまで、交付金で支給することは、補助金適正化法で禁止されている。

したがって、今回の北九州市との契約の場合、交付金の支給が受けられることはないと考えられる。NHKでも税金の無駄遣いに対し厳しい目を向け始めている。この傾向がますます強固なものとなるのは必然である。

 その場合、誰が総額15億円近いお金を支払うのか。

  宮城県と北九州市のそれぞれの首長か。

それとも自治体に責任をかぶせるのか。この場合に、宮城県と北九州市は責任合戦を演じるのか。

 

⑥ がれきの処理量が減る中でなぜ処理経費の増額が提案されたのか。

河北新報によれば、がれきの処理契約の見直し提案は、がれき処理量の半減に伴い、石巻ブロックでは、当初の契約額1923.6億円から640億円を削減したが、逆に「2次仮置き場の追加」「焼却灰、汚泥のリサイクル費」などで199億円増加し、削減幅が圧縮され、全体で441億円の削減になったこと。また不燃ごみの選別施設整備費などで、109億円増加した。全体の削減総額は、393億円に留まり、がれきの処理量が半減したにもかかわらず、削減金額は約20%に留まるという理解不可能なことになっている。この様なことでは今後厳しい批判に晒されることは必至である。理由を明示することを求める。

 

3.まとめと通告

以上まとめると

今回の宮城県のがれきの広域処理は、

Ⅰ 当初宮城県が処理に困っているとされた石巻市のがれきは、昨年9月16日に全量民間委託され、広域化の必要はなかった。

Ⅱ またそれに加え、がれきの発生量の見直しが行われ、石巻ブロックのがれきは、処理予定総量が385万トンから312万トン、即ち、55%も激減した。

Ⅲ 北九州のみならず、宮城県のがれきの広域化処理は、必要性がなくなっていた。

Ⅳ 今回の北九州市にがれきの受け入れを図るのは、宮城県が安く契約を終えているがれき処理から、その分を引きはがし、高い契約処理に契約しなおすという、自治体としては前代未聞の契約である。

Ⅵ その実体は北橋市長に恥を欠かせないため、メンツを守るためという、誠に陳腐な理由でしかないことは、宮城県議会の経過からして明らかである。

 

したがって、本月15日までに質問部分に関して文書で回答されるよう求めるとともに、回答出来ない(のでしない)場合には、この契約を廃棄し、がれきの処理方法の見直しを求めるものである。

 

2012年9月10日