以下は、倉敷市HPに寄せられたお便りです。
ぜひ、ご覧ください
http://sqd.city.kurashiki.okayama.jp/teian/open/meisai.html?id=640
伊藤(倉敷)市長様、倉敷市の職員の皆様へ。
前略
北九州市が瓦礫焼却、焼却灰の海に埋め立てようとしてます。
また大阪市も北港の焼却灰受け入れを環境省が安全のお墨付きを出しました。
以下、友人との思いです。
何卒宜しくお願い致します。
どうか瀬戸内海を守ってください!「海のチェルノブイリ」にしないで!
日本列島は四方八方を海に囲まれ、私たちの先祖は海の祝福を存分に受けて暮らしてきました。私はイギリスで暮らしたことがありますが同じ海洋国家といっても、海の魚の種類も海藻も日本に比べると豊富ではなく、がっかりした覚えがあります。日本の領海は暖流寒流がぶつかり合い、魚種豊富な日本の海域の見事さは稀有で、世界断トツなのです。日本に旅行してくる外国人にどこを観光したことが一番楽しかったかと訊くと、築地市場が一番楽しかったという答えが返ってきます。それは世界の4分の1の漁獲量の魚が取引されている活気あるマーケットだからです。
しかし、その海の恵みも311を境に一変してしまいました。日本の海洋学者は「放射性物質が生物濃縮することはありません」と発言したすぐ後に、イカナゴから高ベクレルの放射能汚染が見つかり、漁師と国民に衝撃を与えました。その後も東電は漁協などに無断で大量の汚染水を何度も海に放出してきています。猛毒のストロンチウム汚染水さえ大量に海へ放出してきました。その結果、海流に乗って放射性物質が流れ着くと考えられるアラスカでアザラシやホッキョクグマに異変が報告されたり、物理的に数千マイル隔たった太平洋の向こう側を回遊しているクロマグロからも私たちの想像をはるかに超えた早さで放射性物質が検出されたりしている現実があります。
幸い、瀬戸内海は閉鎖性海域ゆえ、いまだ原発事故の影響を受けずに済んでいます。このような状況下でほぼ無傷に残ったとは、なんと幸運なことでしょう。しかし現在政府が進める瓦礫の広域処理によって、今現在、瀬戸内海が危機に瀕しています。2年間にわたって瓦礫を焼却し続け、2000bq/kgまでの焼却灰を大阪市は、大阪北港「夢洲」に海面投棄する計画です。これに続いて神戸沖の最終処分場「フェニックス」にも海面投棄したいと考えています。また小豆島の議会も受け入れを可決しました。2年間にわたり関西広域連合全域で焼却する膨大な総量の放射性物質を瀬戸内海に海面投棄する計画が進行中なのです。
しかし大阪湾岸の埋立地や人工島は、阪神淡路大震災時にも液状化や流動化が起こり、港湾施設が壊滅的な被害を受けた場所です。近く起こると言われる東海東南海南海の三連動地震では、既に地震による津波の被害が想定されています。また近年来襲するようになった巨大台風による想定外の高波等をふまえても、危機管理上安全とは言い難い場所なのです。いったん大災害が起これば瀬戸内全体に取り返しのつかない大惨事が拡がるのです。このように事前に予測の付くことには想定外であったという言い訳は通用しません。
これまで政府も関西広域連合も震災瓦礫の空間線量ばかりを計測し、広域処理は安全だと言ってきました。
しかし、実際焼却を始めた自治体で何が問題となっているかというと、希釈される大気とは違う海水・河川・湖沼・水源を含めた水質の汚染なのです。
原発事故以来、東京湾の汚染は特に酷く、利根川水系、江戸川河口からは高濃度の汚染が東京湾内へと流れ込み、7か月で13倍もの汚染が急速に進行中で、2年後には4000bq/kgになると試算されています。この間に、除染で生じた高ベクレルの泥、下水処理場の高ベクレル汚泥すら投棄され続けているのです。
東京湾は入り口が狭く、水の出入りが少ない閉鎖的な湾なので汚染がとどまりやすく、生態系の中の生物濃縮で長期にわたって循環してしまいます。
セシウム、ストロンチウムをはじめとした放射性物質は、大変水に溶けやすい性質をもっています。従来不溶性といわれてきたプルトニウムなどの核種も、放射性物質は質量が軽い微粒子のため、いったん水に流れて海に流出してしまうと、煙のように海の中を漂い続け沈澱しません。ましてや海には波動と潮流があるのです。
こうしてプランクトンの体内に取り入れられ魚へと食物連鎖を通じて何十年と生物濃縮が繰り返されてゆくのです。
これが海のチェルノブイリといわれるゆえんです。
こうした現在の危機的状況を踏まえた上で、世界を代表する生態学者である宮脇昭名誉教授が提唱する「命を守る森の防潮堤」プロジェクトが、震災瓦礫の活用方法として最も良い解決方法と考えられます。被災地300Kmの防潮堤を作るには震災瓦礫1900万t全部を使っても5%弱にしかならないのです。
瀬戸内海は日本最大の閉鎖性海域であるという特徴を有しています。それゆえにこれまでは豊かな海だったのですが、もしいったん、放射性物質で汚染されてしまうと、太平洋岸の逆巻く波の外海である鹿島灘や外房とは全然違った汚染の害が発生してしまう恐れがあるのは想像にかたくありません。
瀬戸内海は本来『瀬戸内海環境保全特別措置法』という法律で守られています。今後の不安定な世界経済の潮流を鑑みても、瀬戸内海は万が一国家がデフォルトするような事態に巻き込まれた際にも、内海は重油が無くとも漁が可能な海域であり、養殖にも有利なので、貴重な食料安全保障の基地として日本国民を飢餓から救える海なのです。未来の日本人に対しての政治経済的責務からも、瀬戸内海を無傷に残す努力をせずに国家百年の計を論ずる資格のある政治家といえましょうか。
大阪市には、実は焼却灰の返却という選択肢もあるのに、大阪市の橋下市長は、敢えて「夢洲」処分場への海面投棄にこだわり、ゼオライトを敷き詰めて埋め立てに使い、そこにカジノを立てる予定です。
ゼオライトの効用について市の職員に「そんな猫砂のようなもので本気で安全といえるとお思いなのですか」と問いかけると、鼻で嗤われました。コンクリ化やガラス化もあり得ますが費用的にやらないようです。放射性廃棄物の海洋投棄はロンドン条約(1972)に違反している国際犯罪行為です。The Convention on the Prevention of Marine Pollution by Dumping of Wastes and Other Matter 1972.
海水の中に投棄するのですから国際条約違反であり、環境省自体も半年前までは海面投棄を可能だとしてはいなかったのですが、現在環境省は「処分場」は対象外であるという論理で解釈し通そうとする構えです。
実際「廃棄物処分場」とは、一般ごみを想定して造成されたものであり、海を枠で囲んだだけの海なのです。
ですから「死の灰」である焼却灰は埋め立て処分場の土から溶け出して、管理処分場の水処理システムを伝って海に流れ出し、何十年にわたって瀬戸内海へと漏れ続けることになります。国の基準の8000bq/kgに科学的な知見が関与していないことは既にご承知のことと思いますが、2000bq/kgも科学的に実証されたものではありません。
なぜなら今回の件が、焼却灰という名の「死の灰」を海面投棄する世界初の暴挙だからです。環境省は行政上、「泥」なら10000bq以上でも海に投棄してもよく、「放射性廃棄物」というくくりであれば100ベクレルでもドラム缶処理で、焼却灰は8000bq/kg以下ならそのままザラザラと海水に浸る一般ごみ用の処分場に埋め立てて良いという、全く科学的計測値に無関係のご都合主義を通しており、彼らの論理も広域処理の論理も既に破たんしています。
本来防潮堤へと活用すべき震災瓦礫を被災地から奪い、処理費で潤い、輸送費のために被災地にローンを組ませるなどは正義にもとる行為です。
橋下市長は海面投棄に関しては、既に環境省の机上の安全検証を全面的に信頼する姿勢を打ち出し、法律家出身の市長は国に依拠して既に自身の責任を回避する態度に出ています。また大阪市の職員も何かにつけて、「市議会の承認を得ております」と口にするのですが、ここ数年、大阪の地方議会は「維新の会」という橋下氏のワンマン行政を支える装置と化しているのが実情です。橋下氏自身の主義主張を支持する者かどうかを基準として公認された自薦候補者たちを組織し、これを当選させたyes man ばかりの「維新の会」が主体となって「了承」という形式だけを採る府議会・市議会の議決で事が進行しており、市民は今回の件でも傍聴すらできず、別室のモニターで視聴するのみという地方自治なのです。
皆さん、どうか先祖伝来の経済基盤である瀬戸内の海の恵みと引き換えに、7世代以上遺伝子にダメージを与えるような放射性物質で瀬戸内海を死の海にしないでください。海の汚染が魚介類によって際限なく拡がった水俣病のような悲劇を再び21世紀に決して繰り返してはなりません。
震災による瓦礫は、被災地の人々の家族の思い出であり、国民心情としても一般ごみ焼却炉で焼かれるべきものではありません。鎮魂の森へと埋葬され、そこで1000年の長きにわたって郷土を見守っていただく、命を守る「森の防潮堤」へと姿を変えていただくのがふさわしいあり方ではないでしょうか。真の「絆」とは、安全な食べ物で東日本の日本人を内部被曝から守ることであり、被災地から瓦礫より人を温かく受け入れることです。被災地の子供たちの給食に安全な食材を提供し、保養キャンプのために安全な場所を提供しようではありませんか。日本人のために皆で日本の国土を守りましょう。頑張ろう日本!
以上に対する倉敷市の回答
本市は、震災がれきの受け入れにあたって、市民の皆様の健康と生活環境を守るため廃棄物について安全性が確保されていること及び市民の皆様の理解が得られることが不可欠であると考えております。
今後も、情報収集に努めると共に、それらの点を念頭に慎重に対応していきますので、よろしくお願いいたします。